でありたい男、

普通だということに固執することがそもそも普通じゃないってことなんじゃないんですか。僕は普通でありたいんですよ。それはまあ、中学だったりそういうところで普通じゃないということを個性だと認識して所謂ちょっと変なやつであろうとする人は一定数います。そんな目でこっちを見るな!僕は困っているんですよ!本当に……僕の抱えたこのジレンマというんですか、これ、人に自分が普通であろうとしても普通になりきれないことが怖くて悲しくて焦って正気ではいられないという話をすると、普通になれない変なやつということを知ってもらいたいというか、俺は変なやつだぞ、みんなとは少し違っているんだぞ、というようなことを知らしめたい人のように思われるんじゃないかと、考えてしまうんです。でも不安なので誰かにこれを打ち明けたい、しかし……というような悩みを、かれこれ85時間は考えているんです。もう僕はそろそろ寝ないといけないんです。普通でありたい!普通であろうとするが故に、普通の人が表に出すような少しの個性さえも出すのが怖いんです、そもそも普通の人ってどんな人なんですか?人間の典型例を示してほしい、生物の教科書に載せてほしい、そうしたなら、私は周りに思ってほしい自分というものを、きっと作り上げて、洋服を着るようにそれを纏って安心して生活することが出来るのに……。自分では普通に話していることが、他人にとっては珍しいということが怖い。怖いんです。僕が見ているこれと、あなたが見ているそれ、果たして同じものなんでしょうか?もしかして僕だけに奇っ怪に…見えていたとしたら……? 本当に正気ではいられない! ああ、雨ですか?降られる前に帰らないと…。とにかくあなたは僕が普通かどうかだけ教えて下さい。それだけでいいんです。その証明さえあれば、僕は一生、安心して、そして眠るように死んでいけるのですから。