4月

今日も東京は寒い。

 

私の入った学科は1年からゼミっぽいことをやるというのをウリにしている(らしい)ようで、ゼミっぽいもののガイダンスがあった。面白そうだった。興味があることなら学びが楽しいと思える人間に生まれてよかったな。楽しみが多いな。と思いながら家に帰る。17時25分の列車の混雑はそこそこと言ったふうで、私が乗って帰る各駅停車の列車には夕日が差し込んで端末を操作して俯く中学生のキューティクルがツヤツヤしている。いいなあ! ふと、紺セーラー服の女子中学生が、人がワラワラ行き交う地下鉄の構内でカバンに定期を仕舞いながらまたね、と友達に笑って器用に消えていった30分前の景色を思い出した。あの少女はまたね、という言葉の有限性を知らないままだ…………

 

一駅ずつ、ゆっくり、人を拾っては降ろしながら、鈍行は進む。喉が渇いた。やがて列車は最寄り駅について、私のこの取り留めもない空想は宙に掻き消えるだろう。明日が暖かい日でありますようにとだけ願い続けている。